大卒者の就職難に関する池田信夫氏の議論について

池田信夫 blog : 大卒はなぜ職にあぶれるのか
そもそも大学進学率は、高度経済成長期も伸びが大きかった*1わけなんだが、それが問題にならなかったのは、社会がそれだけ大卒者を吸収できていたからであって、当時の大学生の質が高かったからではなかろう。

また現在の進学率が伸びているのは、高卒で就職出来なかった層が無理をして進学という道を選んでいるのも要因としてあって、これもまた、社会がどれだけ高卒者を吸収できているか、という問題がある。

(そもそも、この50%という数字が異常に高いものといえるかどうか。国際的にみればこれは必ずしも高くはない。*2

「国立大学と一流私大以外は学歴をみて採用しなくなった。」

とあるが、そのカテゴリにある人でも苦労している人を私は沢山知っている。例えば私がtwitter上でフォローしているフリーライターの小林拓矢さんなんかは、早大卒で卒業論文でも良い成績を取った*3にも関わらず、就職では不遇な目に逢っている。

また、池田信夫は「AO入試」や「推薦入学」を問題視している。しかし、これらが入試ではない、というのは余りにも乱暴な議論である。池田先生が強弁を執っておられる上武大学ではそうなのかもしれませんが。そもそも入試形態が問題となるのなら、選考の際に「どのように入学したのか」を聞けばよいだけの話であるが、こういうことを求職者の学生に質問しているケースはどれだけあるのだろう。


結論を言えば、採用と学力や知力、知性は関連性が無くなってきているか、あるいはそれらの相対的な重要性が低下している、という議論の方が適当である。

よって、池田先生のような議論よりも、大学と職業の接続やハイパー・メリトクラシーの問題を重視する本田由紀あたりの議論の方が、より実態に即していると思う。