コールドケース6 第3話「自由学校」

私はWOWOWを契約していて、放送されている海外ドラマをいくらか継続して観ている。
中でも「コールドケース」は第3シーズンから続けて観ているが、面白い作品であると思う。
フィクションであるが、事件が起こった時期の時代背景を上手く描写しており、アメリカ現代史の勉強にもなる。

タイトルのエピソードは特に印象に残ったので、感想を記事にしたいと思う。
全てではないが、これからのエピソードについてもできれば感想を書いていきたい。

以下ネタバレあり。

話については、公式のブログの記事(http://coldcase.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/731s63wednesday.html)も参考に。


第6シーズン第3話は、公民権運動が盛んだった1964年が舞台。
南部でアフリカ系の子供たちのために教育を行う「自由学校」を支援する、「Wednesday's Women」のメンバーの女性、ミリアムが殺された事件。

彼女は公民権団体であることを隠し、タッパーウェアの販売員として団体の仲間の女性3人と共にミシシッピ州に向かったのであった。

ミシシッピに向かう途中、カーラジオで、行方不明となっていた公民権運動家3人が遺体で見つかった、というニュースが流れていたが、これは、おそらく実際に起こったこの事件*1を指すのだろう。


事故死として扱われていたこの事件が、殺人として再捜査されるきっかけとなった、「I will hunt you down where you live.」と書かれた脅迫状は、被害者宛ではなく、自由学校を運営していたアフリカ系の男性、コーデルに対して送られたものであった。

ミリアムらはミシシッピに滞在中、ある姉弟の家にホームステイしていたが、その弟は実はKKKのメンバーであった。ミリアムは彼によって殺されたのである。

最後に、彼女の仲間の女性3人が被害を訴えにフィラデルフィアの警察に訴えに行くが、「黒人」2人と「ユダヤ人」1人であることで怪しまれ、まともに取り合ってくれなかった。
南部だけではなく北部のような「進歩的」と言われる地域でも、差別が未だに存在していたことを表したかったのだろう。


今回の話のような、公民権運動に関わった主婦がKKKに殺害されるという事件は、公式ブログの記事によれば実際に起こったことだそうである。アフリカ系の人権擁護に関わった人間では、キング牧師マルコムXも殺されているし、先に言及した、3人の殺害事件もある。アメリカ史をもっと遡って、ジョン・ブラウンをその中に含めるのも適当だろう。さらには、数多くの無名の人々も含まれると思う。
理想のために不条理と戦うことの困難さを思い知らされる。


コールドケース」シリーズは、その事件が発生した時々の社会を上手く描写しているところが面白い。もちろん、物語自体も面白いし、キャラクターも魅力的なのであるが。

(民族問題に関わるエピソードとしては、第5シーズン第11話「封筒(Family 8108)」も印象に残っている。このエピソードは、日系アメリカ人の強制収容が背景にある。)