新卒採用時期を遅らせた会社

新年初の記事なので、あけおめと言うべきであるのだが、まあそれはどうでもよい。

http://teiki.saiyo.jp/canon-mj2011/contents/dm_2/index.html

キヤノンマーケティングジャパン」の、新卒採用の告知について


私としては、新卒採用自体が問題視されるべき、だと考えている。

というわけで、件の会社が行ったことは、諸手を挙げて賛同できるわけでもない。新卒採用というシステム自体に切り込んでいないからである。

であるけれども、新卒採用というシステムの駄目なポイントの一つである、「早期からの採用活動と、それに伴う学業への支障」という点に切り込んでいる、という点は評価に値しよう。

「これから経営がどうなるか分からんから採用活動を一時保留する」ということを、レトリックを駆使して上手く言い換えただけであり、この告知は「物は言いよう」「おためごかし」である、という意見もあるだろう。だが、そのようなお為ごかしすらしないような企業も世の中にはある。

2 月ごろに説明会を開いておきながら、その同月に採用活動中止を決定した、という例を聞いたことがある。それに比べればマシである。(ちなみにその会社は、今年度も性懲りもなく早い時期から採用活動を行っているようだ。愚かであるとしか言いようがないのであるが、一年もしないうちに同じ過ちを繰り返すようなアレな組織に引っかからなかったと言う点で、無駄足を運んだ学生諸君は、結局は運が良かったと言うべきであろうw。)

そして、内定取り消しみたいなアホな事態に比すれば、遥かにマシである。


ただ、この告知が単にお為ごかしにすぎないのであるなら、後にこれに反する行動をとることは、大いにありうるだろう。
だが、そのときはそのときだ。その時に思いっきり叩けばよいのである。

もし、彼らが今年度の採用を結局やらなかったとしたら、どうすればよいか?
学生の期待や思いを裏切ったことを批判し、そして新卒採用というシステムにNOを突きつければよいのである。

もし、彼らが来年度、方針を翻して早期からの採用を開始したらどうするか?
この告知をプリントアウトしたものを、説明会で採用担当者の鼻先に突きつければよいのである。


キヤノンマーケティングジャパンの人事の方々が、どのような意図でこのような文章を出したのか、正直なところ私には分からない。私としては良心を信じたいのであるが。
だが、少なからぬ人々が邪推するように、本心ではなく、悪い評判や批判を回避するためにこの文章を出したのであるなら、諸刃の剣であるといえよう。
なぜなら、この文章は、彼ら自らを拘束してしまっているからである。
すなわち、彼らはこれから、この文章に反する行動はとれなくなってしまう。もしそのような行動を取ったとしたら、
「言ったことを反故にするような会社だ」という悪評を免れ得ない。
そうなってしまったとしたら、採用活動はおろか商売そのものにも影響がありうるだろう。
(わたしは、「言ったことを反故にするような会社」と、取引をしたいとは思わない。)
というわけで、もしこの会社が、この告知によって示された方針を貫き通すなら、人々の尊敬と賞賛を集めることであろう。
だがもし道を誤れば、自らを危機にさらすことにすらなる。そのことを肝に命じておくべきである。